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12cm~越えられない距離~

第30章 12cmの距離

岐阜報道社ってのは、地元密着型の新聞社だ。

今回の絵画コンクールも協賛をしているらしい。

だからこそ社名のついた賞が作られたんだって聞いた。

賞をもらえたのは嬉しい。

だけど、いわゆる大賞扱いの市長賞が取れなかったのは…

やっぱり、面白くはない、な。

「ありがとう。じゃあ来週、学校の方にお邪魔するから。美術部だよね?」

当然の口ぶりに、どうしようか迷う。

「あ…と。俺、最近美術部に顔出してないんで」

「そうなの?勉強、忙しい?」

「まぁ…忙しいは忙しい…かな」

勉強ではないけどな。

「そうか…。じゃあ、中谷くんの都合のいい時間に合わせようか」

「今日のこれで取材終わりって訳には…」

「うーん…。学校に取材許可を取っちゃったしなぁ」

何だ。そんなに何を調べたいんだろう?

「じゃあ、いつでもいいです。学校には居ると思いますから」

「ありがとう」

小柳さんはにこにこ笑うと、じゃあねと一言告げて他の作品を見に行った。

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