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12cm~越えられない距離~

第4章 仕組まれたデート

「繚平、あんた遊園地好きだっけ?」

学校から家について、ただいまよりも先に母親がしてきた質問に戸惑ってしまった。

「好きも嫌いも…最近行ってないから…」

「あんた高校生のくせにつまんない答えしかしないのね」

ふぅーとため息をついて、棚の引き出しから白い封筒を取り出した。

「これあげるから、女の子誘って行っておいで」

渡された封筒の中身を見たら、近所の遊園地の特別招待券が二枚入ってた。

「これ、どうしたの?」

「商店街の懇親会の景品だったのよ。日付指定だから気を付けて」

裏を見ると、利用可能日が書いてあって…

「何だよ!?17日しか行けないじゃんか」

あとの日は平日だから無理だし。

「いいじゃない。17日に行きなさいよ」

17日かぁ…誰か行けるヤツいるかな。

「ちゃんと女の子と行きなさいよ!?誰かいないの!?」

「残念だったね。彼女いませんから」

嫌味口調で答えると、

「あ、ほら、あの子は?肉屋の姪っこの…」

「真央?…駄目。あいつは誘えない」

「何で?仲良かったじゃない!?」

「…事情があるから」

母親は口を尖らせてふーん、と呟くと

「行かないなら他に回すから、誰か誘ってごらん」

そう言って俺の鼻をきゅっとつまんだ。

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