テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第1章 出会い

始業式が終わると、午後から始まる入学式の準備に先生と生徒会はかかりきりになる。

俺達在校生は、入学式には参加しないので、昼前に帰るのがならわしになってる。

「繚、帰るなら一緒に行くか?」

ノブちゃんが声をかけてきた。

「悪い。ちょっと部室寄ってく」

「すぐ終わるなら待ってるけど?」

「まぁ…時間かからんって言えばかからんかな」

「そしたら下駄箱の辺で」

「おぅ、頼むわ」

ノブちゃんに手を振って応えると、俺は美術準備室に向かった。

前任の前田先生が、準備室に私物置いてても文句言わない人だったから、部活で使う道具なんか置きっぱなしにしてたんだ。

新しい先生にはまだ許可もらってないし…もしいたらどんな反応するか試してみたい気もするし。

特別棟四階のつきあたりに美術室はある。

準備室はその1つ手前の部屋。

中の様子を伺いつつ、ドアをノックした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ