テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第7章 球技大会で

「あっ、いや、あの…頑張れ!!」

何か言わなきゃ、と焦った結果、発した言葉がこれで。

アキはしばらく無言で俺を見て…プッと笑いを吹き出した。

「笑うなよ!!」

思わず抗議すると、アキは片手をあげた。

拳を結んだ手の親指だけピッと上に立てて、左目を閉じて笑った。

「りょーかい!!」

きゃーっ!!とアキのファンから悲鳴が響き、その声に狼狽えてしまう。

そのうちにアキはベンチに戻っていった。

「すっげぇ。おっとこ前~!!」

ノブちゃんが感心したように言うのにも納得する。

カッコいい、よな。

「繚平くん、顔真っ赤」

くすくす笑いながらの真央の指摘に、手で顔を覆った。

「お前らが変な企み仕掛けるから!!」

「繚さ、遊園地以来、アキの事名前で呼んでないだろ?」

え。ノブちゃん気付いてたのか。

「きっかけ作ろうかと思ってさ~」

きっかけ、ね。これがきっかけになるのか!?

面と向かうと、何となく気恥ずかしいんだよなぁ…。

「考えずにさらっと呼んじゃえばいいのに」

真央の助言に返事をしないで、手を団扇がわりにして顔を扇いだ。

…あっつい…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ