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12cm~越えられない距離~

第8章 1分の勝負

ホイッスルの音と共に、相手チームのスローインで後半戦が始まった。

相手チームのパス回しが巧みで、なかなかチャンスをもぎ取れない。

相手がシュートを打つ。

リングに弾かれたボールを、うちのクラスの松木紗菜が取った。

「アキちゃん!!」

松木が片手で大きく振りかぶって投げた。

ボールはアーチを描きながら、相手チームのゴールに走るアキに届けられる。

よし!!パスが通った!!

ドリブルで相手コートに切り込み、そのままランニングシュートを決めた。

「よっしゃー!!」

「あと三点だよ!!」

「アキ先輩、ナイスシュート!!」

観客席からも色々な応援の声がする。

アキは自分のコートに戻りながら、仲間とハイタッチしている。

シュートを決めたら、すぐに守りに回らなきゃいけないのか。

なかなか気の抜けないスポーツだよなぁ。

そんなことを思いながら見ていると、相手が攻め込んできた。

アキがカットしようと動いたら、相手が後ろに向けてバウンドパスを出した。

つられてアキの体勢が崩れる。

アキの横をすり抜けて、フリースローラインより中に入りこまれた。

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