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12cm~越えられない距離~

第10章 『エース』の悩み

「言っとくけど、彼女じゃないから。クラスメートだからな」

「そんな念押ししなくても…ねぇ?」

ねぇ…って、アキに何の同意求めてんだよ。

「はぁ…」

「繚平が女の子連れてくるの、初めてなのよ!?」

何か、予感的中しそうな気配。

「変なこと言うなよ!!真央連れてきたりしただろ!?」

「え」

声をもらしたアキに、母親が人差し指を振って三回舌打ちすると

「小学生の時の話を最近の事のように話すのってどう思う?」

「小学生…何年前よ」

ヤバい。自爆しそうだ。

「もういいだろ!?アキ、行くぞ!!」

「え?繚!?」

俺と母親の間で戸惑うアキに、

「店やってるからおもてなし出来ないけど、ゆっくりしてってね」

と母親が声をかけ、アキが慌てて

「あ、お構い無く。お邪魔します」

ペコリと頭を下げた。


店の奥の階段を登る足音を聞きながら、

「アキに繚…だって。仲いいんじゃな~いの~?」

繚平の母はそんな事を呟いて、笑いを浮かべていた。

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