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12cm~越えられない距離~

第10章 『エース』の悩み

「あんな動き、狙って出来ると思った?」

アキが俺を見上げてる。

顔は笑ってるのに…目が、笑ってない。むしろ…

「出来ないよ!!偶然だもん」

「アキ?」

「繚の頭に残ってるのは、もう2度と見ることのない動きなの!!」

「アキ、落ち着けって!!」

急に爆発したアキに戸惑い、とにかくなだめようと肩に手をかけた。

近い位置で顔を見れば、アキの目が潤んでいて…

え!?涙!?

アキは慌てて俯くと、小さく

「ごめん、帰る」

と告げた。

「あ…送るよ」

「いい」

「送るから。途中まででもいいから、送らせてくれよ」

俺が何かの地雷を踏んだのは間違いなくて。

こんな状態で、一人で帰らせる訳にいかないだろ!?

「……」

アキは何も言わず、鞄を手に取った。

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