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12cm~越えられない距離~

第10章 『エース』の悩み

「それが今日休んだ理由?」

「…それだけじゃないけど」

アキの手から手を外すと、部屋に転がっていたクッションボールをアキに投げた。

難なくキャッチしたアキに

「ボールをシュート打つみたいに構えて。もうちょい高め。…ん、ストップ」

椅子に座ったままのアキの前に立ち、目線の高さに上がった手を描く。

「球技大会の時さ、アキが逆転シュート決めたとき」

「うん」

「目が離せなかった」

「…うん」

「すげぇなって思って、その時の事が頭に残ってて…何かカタチにしたくて、モデル頼んだんだ」

「そう…なんだ」

アキの口調は重くて、何だか歯切れが悪い。

『それだけじゃない』部分に引っ掛かったんだろうか?

「こないだの放課後、スケッチさせてもらった時も思ったんだ。普段からこんな練習してるから、試合であんな動けるんだなって」

「練習してるから動ける訳じゃない」

やけに淡々とした口調に、手を止めてアキを見た。

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