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不器用なくちびる

第2章 呼出

ひたすら泣いて…
ふと気がつくと後ろからふわりと
抱きしめられていた。


「!!…や、だ!!」


逃れようともがくけど、
栞をすっぽりと包み込む
大きな身体はびくともしない。


「そうだよな…ごめん。
でももう帰らないとヤバいだろ…
俺はいなくなるからさ。
気を付けて帰れよ…ほんと、ごめん。」


橘がパッと離れ立ち去ったあと、
しばらくして栞ものろのろと
立ち上がり家路についた。

帰宅すると両親がたまたま出かけていて
泣き顔も見られずすぐにシャワーを
使えたことだけが唯一の救いだった。


…やっぱり親には言えないよ…

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