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不器用なくちびる

第20章 【春菜 14才】

うへ〜指だるい…

もう2時間も、文化祭の課題曲の
練習をし続けてる私。
大して上手い訳でもないのに
小学生の時から何かと伴奏の役が
回ってきてうんざりしてるんだよね…

でも今回は
かなり気合いを入れてるんだ。
だって、あいつがピアノを
好きだって最近知ったから…

彼の名前は橘 稜(たちばな りょう)。

私は彼に絶賛片思い中。
どんな人かって?
犬みたいに優しい目をしてて、
イケメンとまではいかないけど…
180くらいある身長と落ち着いた
雰囲気のせいで地味にモテる。

でも、私の大好きな長めの前髪から
のぞく優しい瞳は、常にある女の子の
ことを追いかけてる。

香山 栞…私の友達を。

考えてみると初恋の椎名って奴も
多分、栞のことが好きで…
それも二人とも周りなんか見えない
くらい栞に惚れてる。

私とは正反対の、
お人形みたいな雰囲気の栞。
例え私が栞と同じ真っ黒で長い
サラサラヘアにしても、
美白して超色白になっても、
私を振り向いてはくれないんだろうな〜
それはもはや確信に近いんだ。

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