テキストサイズ

不器用なくちびる

第7章 願い

島での日々は本当に楽しくて。
っていうか大したことのない
毎日なんだけど…
それがめちゃくちゃ幸せだった。

咲紀ちゃんとはいっぱい話して…
学校うまくいってないの?
悩みがあるなら話してって
言ってくれたけど、詳しいことは
どうしても打ち明けられなかった。

咲紀ちゃんはそれ以上訊かないで
いてくれて…私はとても救われた。
ここでこうしていられるだけで
私は幸せだから。


優しい時間が過ぎ
お盆が近付いたある日…
私は橘くんにメールした。

実は、橘くんのお母さんの実家が
島から近い本土の町で、
お盆に橘くんも帰省するかもと
言っていたのだ。

学校のことを思い出すのは
嫌かもしれないと思って
はっきり約束出来てなかったけど…
島の時間を過ごすうちに
橘くんには会いたいなと
思えるように私はなっていた。

お盆には島で大きなお祭りがある。
橘くんに大好きな島の祭を
案内できるなんてすごく楽しみだ。

背が高くて優しい目をした…
私の大切な友達。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ