溺れる愛
第7章 勉強
「じゃ、次は化学な。」
那津はすぐにいつもの無表情に戻ってしまう。
だが、先程見せたあの笑顔が
なんだか那津を憎めなくさせていて
芽依は素直に従った。
『はいっ!宜しくお願いしますっ』
「はいはい。返事だけはいいんだよなお前。
頭ビックリする程悪いけど」
『うっ…そんなにハッキリ言わなくても…』
「ほら、口動かす前に手動かせ」
那津の毒舌にも少しずつ慣れつつある自分に
僅かに違和感を覚えるも、言われた通りに化学の教科書とノート、プリントを机に広げた。
『あのね、化学も計算ばかりだし
数学と変わらないよね。何が化学なの?っていつも思うの』
「…バカの典型的な発言だな」
『…バカで悪かったわね』
こんなくだらない言い合いをしながら
必死に教えを請うて勉強した。
そして気がつく頃には時刻は午後11時を既に回っていた───…