溺れる愛
第7章 勉強
『嘘…もうこんな時間!?』
壁掛け時計を見た芽依は、時間も忘れて勉強に没頭していた自分に驚いた。
「てかお前、家大丈夫なの?」
『あー…うん。今は両親共、夜は仕事で居ないんだ』
うーんと伸びをしながら凝った身体をほぐす。
「つーか腹減ったな…何か食う?」
『うん!私もお腹ペコペコだよー』
「じゃあコンビニでも行くか」
『賛成ー!』
ここで芽依はハッとする。
(なんか…何で私こんなに普通にコイツと話出来てるの?)
変な緊張感も無く、今までの事を無しに考えると
本当に気の知れた友達の様な感覚だった。
(那津くんも、いつもみたいにキツくないし…。)
勉強を教えて貰う事で、距離が近付くキッカケになったのかもしれない。
「おい、モタモタすんな。豚って呼んでやろうか?」
『ぶっ、豚!?猿の次は豚!?』
「あーうるせぇ。早く来いよ芽依」
『…わかってるよ…っ』
急いで靴を履いて玄関を出ようとする。
(なんか…今のずるかった。ツンデレ的な…)
そんな事を考えていると、頭からボスっと何かを被せられる。
『ちょっ、何!?』
「それ着とけ。こんな時間に制服でうろつくバカいねぇだろ」