溺れる愛
第9章 花火
「俺…実は芽依の事知ってたんだ」
『え…?』
思いがけない言葉に困惑する。
「いつも、俺の練習見てただろ?
その時から可愛い子だなって思ってて」
(嘘…!バレてたんだ…!)
また顔が熱くなる。
「芽依が見てくれるから…だからわざと外で練習してたって言ったらカッコ悪いな」
ふふっと小さく笑う俊哉はどこまでも大人びていて
少しも格好悪さは無い。
『そんな…格好悪くなんてないです…』
恥ずかしさから俯く芽依に、俊哉は優しい声を降らす。
「芽依…顔上げて?」
『……』
言われた通りに、おずおずと紅い顔を上げると
真剣な表情の俊哉と視線が絡まる。
そして、頬にそっと手が触れて
もう壊れそうな程に心臓がうるさくて。
(…どうしよう……)
しばらくそのまま熱い視線を絡め合う。