溺れる愛
第9章 花火
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旅館への夜道を手を繋ぎながら無言で歩く。
彼氏と彼女の関係になれた事がまだ信じられなくて。
だけど繋がれた手の温もりがそれを物語っていて。
顔を上げると、自然と彼と目が合って優しく微笑まれる。
恥ずかしくて顔を俯けると、少しだけ握られた手に力が込められて。
こんな些細な事が凄く幸せで。
だけど、心はモヤモヤしていた。
そう────那津の存在。
忘れる事など出来なくて、
俊哉にバレる前に、なんとか清算したかった。
合宿が終われば、那津との泊まりが控えている。
本当はこれすらも気が重いが、約束は約束。
それに、ハッキリさせないといけない。
芽依は那津との関係をどうにか断ち切ると
心に強く誓った。