溺れる愛
第10章 距離
ドキドキの夏合宿を終えて、憧れの俊哉と付き合う事になって
一生分の幸せが一気に舞い込んできた気分だった。
だけど、それには大きな壁がある。
芽依は手にした携帯を難しい表情で睨みつける様に見ていた。
【明日から3日間。朝8時に駅】
凄く淡泊なそのメールは那津からで、思わずげんなりしてしまう。
とりあえず俊哉には友達と旅行だと嘘をついてしまった。
それが余計に心苦しくさせる。
(はぁー…とうとう来てしまった…)
浮かない表情を浮かべながら、とりあえず荷造りをして
やけに早い待ち合わせ時間に遅れないように
その日は早めにベッドへ潜り込んだ。
もちろん中々寝付けなくて、翌日眠い目を擦りながら
駅までの道のりを重い荷物を抱えて歩いた。