溺れる愛
第11章 結合
「本っ当にごめんね!」
波瑠は申し訳なさそうに両手を合わせて必死で謝ってくる。
『…いえ…仕方ないですよ』
「芽依ちゃん…本当にごめんね」
実は、この時期どこも予約がいっぱいらしく
一部屋しかホテルをとれなかったそうだ。
しかもシングルの部屋が一つだけ。
「どうしてもあれだったら、うちに来てくれても全然いいんだよ?」
『え…?』
(じゃあ…そうしようかな…)
はいと返事をしそうになった瞬間
那津の声がそれを遮った。
「大丈夫だって。な?芽依」
(…っ)
表情こそ笑って見せてはいるものの、目は笑っていない。
逆らえば解っているな?と訴えかけてきていることはすぐにわかった。
『はい…大丈夫です』
自然と手を悔しさで握り締めてしまう。
波瑠達は最後まで芽依を心配してくれていたけど
那津に何かしたらタダじゃおかないと釘を刺して帰って行った。
広いホテルのロビーに、芽依と那津だけがとり残される。
「とりあえず部屋行くか」
『………』
重い荷物を持って、そのまま用意された部屋へ向かった。