
溺れる愛
第14章 錯乱
家に着いてからは、自分の部屋に籠もりっきりで
先程の出来事を延々と考えていた。
(何だったんだろうあの子…那津の…彼女?
きっとそうだよね。じゃないとあんなに笑ったりしない…
それにあんなに寄り添って…)
自分には一度も向けられた事のない笑顔を
違う女の子に向けていた那津。
何故だかそれに嫉妬している自分がいて…。
(あの子…大事な子なんだろうな…じゃあどうして私を抱いたりするの…?)
何を考えているのかわからない那津。
それは自分も同じ。
俊哉がいる。大好きな彼。
なのに、たったこんな少しの事で那津に…あの可愛い女の子に嫉妬している。
何の嫉妬だろうか。
自分が少しもあの子に適わないと思ったからだろうか。
それとも好きに身体を弄ばれているから故の苛立ちだろうか。
(だぁ────っ!わかんない!!)
ボフンと枕をベッドへ投げつけて、その上に突っ伏す。
(あの子……誰…?)
気になって仕方がない。
胸のモヤモヤは更に大きくなっていった。
