
溺れる愛
第14章 錯乱
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繋がったまま、今日の那津は珍しくお喋りで
芽依は必死に背中にしがみつきながらそれに答えていた。
「結局しちゃったな」
『だっ…那津が…んっ』
「あーでも妬けるなー」
『な、にがっ…あぁっ』
「この芽依を他の奴が知ってるって思うと」
激しく揺さぶられる身体で、頭がボーッとしながらも
那津の言葉には敏感に反応して鼓動が跳ねる。
『せ…ぱい…まだ、して…んんっ…』
「まだなんだ?もうしてると思ってた」
『あ、あぁっ…!それ、ダメっ…っ』
「なぁ、これからもずっと…芽依は俺のだろ?」
その時の那津の顔は、とても切なそうな顔をしていて
芽依の心も何故だかそれにつられてギュッと締め付けられる。
『あ、んんっ…なに、それっ…』
背中に回した腕を首に移動させて、そのまま那津の顔を引き寄せて抱きしめた。
(なんで…そんなに辛そうな顔をするの…)
「…芽依……」
そう呟いた那津の声は激しく打ち付ける腰の動きとは対照的に
ひどく頼りなくて消え入りそうな程に小さかった。
『あ…那津……っ』
(どうしたの…?)
その時、初めて本当の那津を見た気がした。
