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溺れる愛

第17章 社会人編スタート




すると、店員さんがカウンターの中から静かな声で話しかけてくる。


「…何か…悩み事ですか?」


『え?あぁ…悩みというか…なんだかもう
持病のようなもので』


「持病…ですか?」


『はは…溜め息病みたいな感じかしら』


「ふふ…面白い方ですね」


『え…?』



そう言えば、昼間にも田所さんに同じ事を言われたっけ…



『今日、ある方にも同じ事を言われたわ。
私はそんなつもりはないんだけれどね』


「そうですか」


そしてまたカクテルを傾けた。


店員さんの雰囲気も控え目で、かなり落ち着いて過ごせるバーだし


『私…ここのお店凄く気に入ったわ。
今度からはここに通おうかな』


「それは嬉しいです。お待ちしております」



その日は結局終電までチビチビとお酒を傾けながら
店員さんとお喋りをして楽しく過ごした。


夜が更けると客が増える店のようで
あの後すぐに店は満席になったけれど
客層も落ち着いた大人の人が多いようで、静かな雰囲気は変わらなかった。


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