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溺れる愛

第17章 社会人編スタート




打ち合わせは滞りなく進み、田所さんの意見や私や菜々子ちゃんの意見を総合して
また改めてデザイン画をメールで送る事になった。


今日は残業だなぁ。


また前と同様に一階のロビーまで見送ってもらい
そのまま菜々子ちゃんと会社へと戻った。



「先輩の言うとおり、凄く良い人でしたね、田所さん」


『でしょう?初めてお会いした時から、菜々子ちゃんの好きそうな人だなって思ってたの』


「それはそうなんですけど…田所さんは多分私じゃ無理そうです」


『え?どうして?』


どうしたんだろう…
菜々子ちゃんがこんな弱気な発言をするなんて初めてじゃないかしら?

そう思っていると、菜々子ちゃんは何やら凄くニヤニヤしながらこちらを見てくる。


「だってあの人…絶対先輩狙いですもん」


何を言うかと思えば、先輩狙いって…


『はぁぁ?何言ってるの。そんな事あるわけないでしょう?』


「私、こういうの見抜くのは得意中の得意なんです!間違いありませんよ!」


『はいはい。わかったから早く会社に戻るわよ』


「ちょっと先輩~!ちゃんと聞いてくださぁーい」



確かに菜々子ちゃんは鋭い子だとは思うけれど
ろくに会話もしていないし、ただ取引先ということで
親切にして頂いてるだけよ、きっと。


それに、もうイケメンは懲り懲りというか…

イケメン恐怖症にでもなったかしら?


それもきっと那津のせいね…。


いつか居なくなってしまうんじゃ…
そう思うと怖くてなかなか一歩を踏み出せない。

全部…あなたが悪いんだから…。

もしまた会うことがあれば、絶対文句言ってやる。


だから……一目でいいから会いたい。


やっぱり私には他の人の事を考える隙間は無さそうだな…。






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