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溺れる愛

第17章 社会人編スタート




田所さんは確か、女性社員だけでなく
男性社員も寛げる空間が良いと仰ってたわよね…

てことは、アロマなんかはまず論外ね。

あれは女性ウケは良いけれど、男性は割とそうじゃない人も多い。

それに年配の方だっていらっしゃるのだから
流行だけを取り入れればいいってものでもないし…



『あぁーダメ…浮かばない…!』


背もたれにドカッと背中でのし掛かるくらいに仰け反って天を仰いだ。



『うぅーん……あぁー…』


訳の分からない事をうんうんと唸りながら
良いイメージが降りてくる事もなく、ただ時間だけが過ぎていく。


その時、バッグの中で携帯のバイブが振動している音に気付いて
仕方なく身体を起こして携帯を取り出した。



『…誰?』


画面には知らない番号が表示されていて
そこでまた淡い期待が胸を過ぎる。


もしかして………


切れてしまう前に急いで通話ボタンをタップすると
私は焦ったように早口でもしもしを言ってしまった。


すると受話器からは男性の声が聞こえてくる。


「もしもし…夜分遅くに突然すみません」


この声は………



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