溺れる愛
第18章 久しぶりのときめき
今、私は一旦煮詰まっていたデザイン画を描く手を止めて
何故だか取引先の田所さんと、駅前のイタリアンレストランに来ていた。
『あの…何か?』
「いえ、お気になさらず」
そう言って目の前に飄々と座りながら、こちらを観察するように見つめてくる田所さんを窺いみる。
なんでこんな状況になっているかと言うと…
さっきのあの電話。
急いで出て、受話器から聞こえてきた声の主は田所さんだった。
「急にお電話をしてしまい申し訳ありません。wonder landの田所です」
『あ…こんばんは。あの、どうして番号を…?』
「名刺に書かれていたので…ご迷惑でしたか?」
『あ…そうですよね…。
いえ、迷惑だなんて…すみません…』
「もしよろしければ、このあとお時間ありませんか?御社の近くまで用がありますので、改装の話でもしながらお食事でもどうかと思いまして」
『はぁ…食事、ですか…』
こんなやりとりをして、そして今に至るというわけ。