溺れる愛
第18章 久しぶりのときめき
そこには、舞台は高校。
ある一人の無口で感情を表に出すのが苦手な主人公と
明るくて、だけど清楚な長い黒髪の女の子。
その女の子のある秘密を知ってしまった主人公は
歪んだ形でその女の子を束縛する。
二人きりの教室で抱き合った事
初めて那津の家に行った時の事
体育館倉庫での事
海の家で…初めて繋がった時の事
学校で一緒にお弁当を食べた事
守って貰った時の事
それからの事も全て書いてある。
ただ違うのは、あの時の那津の行動からは感じ取れなかった愛が
この本からはありありと伝わってくる。
ただ、臆病な狡い主人公は、結局大好きな彼女を
歪んだ形でしか愛せなかった。
突き放して傷つけて、自分には何も残らなかったと…
『那津……私も…今でも愛してるよ…』
パタンと本を閉じて、ギュッと胸に抱きしめる。
久しぶりにドキドキと胸が疼く感覚が切ない。
『…どうして臆病だったの…何があったの…?』
私じゃ…信用ならなかったのかな。
頼りにならなかったのかな。
ねぇ…今、凄くあなたに会いたいよ…。