
溺れる愛
第20章 近付けた喜びと陰
それにしても…本当に綺麗になってたな、アイツ。
俺の好きだった黒くて長い髪もそのままだった。
けど、あの頃より少し痩せてて
前から華奢な方だなとは思ってたけど
昨日は本当に、強く抱き締めたら壊れるんじゃないかってくらい小さかった。
ていうか…何抱き締めたりしてんだよ俺は…。
でも、我慢出来なかった。
触れずにはいられなかった。
まだ、この手に芽依の感触が残ってて…
また連絡するなんて言ったけど
今更改めて何を話せばいいのかもわからなくて
結局連絡出来ずにいた。
俺が悶々と社長椅子に座って考え込んでいると
コンコンとノックの音が聞こえて
返事をすると、そこには薄ら笑いを浮かべた誠司が立っていた。
「やぁ。面白い顔をしているね」
「…何が」
こいつ…完全に面白がっているな…。
