溺れる愛
第21章 波乱の合コン
「だけどある時…那津はまた笑わなくなった」
那津にそんな過去があったんだ…。
『それは…どうして…?』
「うん…実はね」
そして、田所さんは何かを言い掛けた途端
凄く真顔になって、だけど次の瞬間
何やら意地悪な表情を浮かべてこっちを見てきた。
「芽依ちゃん、ちょっとだけ我慢してね?」
『え?あの───』
私が言い終わる前に、田所さんが
ガバッと覆い被さる様に抱きついてきて
びっくりし過ぎて息が止まった。
『ちょ…な…』
「しっ。いいからジッとしてて。」
か、顔が…!!
近すぎるんですが!!!
端から見れば、キスをしているようにも見えるその体勢に
私はどうしたらいいかわからずに
ただただ固まっていると
田所さんの後ろから
予想だにしなかった人物の怒鳴り声が聞こえて
その瞬間、田所さんはまた
ニヤリと意地悪く笑ったんだ。
「誠司!!!」