溺れる愛
第22章 あの頃の君は
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『う…わぁ…すっごい眺め…』
都内を一望出来る、高級マンションの最上階。
全面窓ガラスになっていて、眠らない街のイルミネーションがとても綺麗だった。
やっぱり…お金持ちだよね。
ホテルのスイートルームみたいな家には
高校の時と変わらない、高級そうな家具がズラリと並んでいて
やっぱりこの緊張感は変わらない。
「毎日見てたら飽きる」
サラッとそんな事を言ってしまう那津が
なんだか雲の上の人に思えた…。
『こんなに綺麗な景色を毎日見られるなんて…
なんだか夢みたいね』
私のこの一言に、那津は少しだけ笑って
「じゃあ、芽依もここに住むか?」
なんて、冗談か本気かも解らない事を言った。
『あ…そうだね。じゃあ住もうかなー』
私は、たぶん冗談だと思って、
必死に照れ隠しをしながら冗談で返したのに
那津は少し驚いた顔をして
「まじ…?」
って言ったの。
え!?
冗談じゃなかったの!?