溺れる愛
第22章 あの頃の君は
正直、どうしていいか解らなくなって
気がついたら突き放してた。
怖くなったんだ。
いざ幸せを目の当たりにして…それが余りにも儚くて
それが怖かった。
だって…俺の本当の狙いを聞いたら
多分俺の事、憎んだだろ?
そう仕向けておいて、直接向けられる事を恐れた俺は
先輩…芽依の元彼の所に頼みに行ったんだ。
芽依を宜しくって。
そしたらあいつ、“君じゃないとダメだ。芽依を頼んだよ”なんて言うから…
正直何なんだよお前らって思った。
2人共、いい奴過ぎねぇかって…。
その頃、俺には義母が決めた婚約者がいた。
そいつと結婚して、会社が提携を結べれば
もっと拡大出来るから。
あの時、ジュエリーショップで偶然会っただろ?
横に居た女はそいつだ。
これも、権力を手に入れるためだって諦めてた事だったんだけど…
芽依を好きになってしまったから…
俺さ、あのあと店員に聞いたんだ。
芽依が何してたかって。
だから…せめてもの償いに
俺の気持ちとして
あのネックレスを贈った。