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溺れる愛

第24章 少しずつズレる歯車




那津と付き合うようになってから一ヶ月が経った。


お互い仕事が忙しく、あれから2回しか会えていない。


だけど、毎日の電話や何気ないメールのやりとりだけで
もう充分に満たされていた。


会うときは、那津の家で、必ず変装する。


帽子を目深に被って、サングラスをして
髪の毛は束ねて全て帽子の中へ入れる。


徹底して身を隠していた。


那津は堂々と出掛けられない事を凄く申し訳なさそうにしていたけれど

私が“なんだか映画に出てくる様なスパイごっこみたいで楽しい”って言ったら

少しだけ嬉しそうに、でも困った様に笑った。



確実に那津の笑顔が増えている。


それだけで、私は充分幸せなの。


那津の笑顔を、この幸せを守れるなら

私は何でも出来る気がする。


出掛けられないなんて、どうでもいいんだよ。


会えるだけで幸せなんだから。



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