テキストサイズ

溺れる愛

第24章 少しずつズレる歯車

━━━━━━━━━……



私はその日、家に帰ってからも
不安で滲む汗を止められなかった。


あの人…やっぱり凄く綺麗だった。


見た目は私じゃ到底適わない…。



那津を信じてる…だけど…

あんな綺麗な人にずっと思い続けられていたら
いつか気持ちが揺らいでしまうんじゃ…


さっきから、こんな嫌な事ばかり考えてしまって

食事はおろか、着替えすらもしていない状態だった。



那津に会いたい……。


その時、鞄の中から振動音が聞こえた。



『…那津の携帯?』


着信を知らせながら震えていたのは
八年前に那津が私に残したスマホで

画面には


公衆電話


と表示されている。



どうしよう…

勝手に出ちゃっていいのかな……。


悩んでいる間も、コールの音は止む気配が無い。


私は、かなり躊躇いながらもその電話をとった。



『…もしもし…?』



ストーリーメニュー

TOPTOPへ