
溺れる愛
第24章 少しずつズレる歯車
お昼になり現場を後にしようとした私を、彼女が突然呼び止めた。
「ねぇ、あなた」
『…はい。何でしょう…』
動揺しちゃいけない…。
だけど、この人の目線がまるで私を試している様な
そんな感じがして…なんだか怖い…。
「良かったらあなたもお昼、ご一緒しない?
ねぇ那津さん、それがいいわよね」
そう言って、私の目の前でまた腕を組む。
那津は…そんな彼女に笑顔で応えていて…。
信じてる…信じてるけど……
こんなの見たくない…。
ねぇどうして?
どうして彼女がここにいるの?
どうしてそんなにくっついたりするの?
それすらも教えて貰えなくて…
ただ信じて待つ事が私の役目なの…?
「あの!折角ですけど、私と先輩はもう別のお店予約してますんで。
お二人でどうぞごゆっくり!」
答えられない私を庇うように菜々子ちゃんが一歩前に出てその誘いを断ってくれる。
菜々子ちゃん…ありがとう…。
「あら、そうなの…残念ね。
またご一緒しましょうね」
と、彼女は全く残念そうじゃない雰囲気で笑っていた。
