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溺れる愛

第24章 少しずつズレる歯車




──────────………



「本当、何なのあの女!
私あーゆうタイプの、なんか高飛車な女
本っっっ当に嫌いです!」



パスタをくるくるとフォークに巻き付けながら
菜々子ちゃんが怒ってて

それがなんだか私のために言ってくれているような気がして嬉しかった。



『まぁ…でも、綺麗な人よね』


「顔だけですよ、あんなの。中身は真っ黒そう」


『菜々子ちゃんは人を見る目があるから…案外当たっているかもしれないわね』


私も海鮮ドリアを一口掬って口に入れる。



「森山社長…てっきり先輩に気があると思ってたのに…。」



うっ…本当に鋭いな…那津の事まで見抜いていたなんて…。


「あんな女のどこがいいんだろ。
絶対先輩の方が綺麗だし性格もいいし圧勝なのに…。」


『ふふ…それは褒めすぎよ』


「そんな事無いです!先輩はもう少し
自分に自信を持って下さい!」



今日はえらく真剣な表情で話す菜々子ちゃんに
私は少し狼狽えてしまう…。



菜々子ちゃんは少しの間を空けてから
切なそうな表情を浮かべて呟いた。



「先輩…好きなんでしょう?
森山社長の事……」


『えっ……』



そんな……まさか…。
私、仕事中は絶対那津のことを意識しないようにしてたのに…。


「先輩の表情を見ていれば解ります。
今までに見たことないくらい、凄くいい表情をしているし…」


『…菜々子ちゃん……』


「あんなぽっと出の女に負けちゃダメです!
絶対先輩の方がいいに決まってます。
私が保証しますから!」


菜々子ちゃんのその真剣な表情に、
塞いでいた気持ちが少しだけ軽くなった気がした。



『…ありがとう。でも、私は大丈夫よ』


だって……那津のこと

信じているから。



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