
溺れる愛
第25章 引き裂かれる二人
「……大丈夫?」
『……大丈夫じゃないです…。
どうしてわざわざ私に教えるんですか…』
「うん…俺は狡いから。
那津が居ない隙を狙おうとしてるのかも」
『…よくわかりません…。』
もう…どうしたらいいのかわからない。
信じ続ける事って、こんなにも難しいのね。
離れている間は、どうだったのかしら…
自分の事なのによく思い出せないなんて
本当に私も都合が良いんだな…。
それに田所さんの事も…。
「俺は、芽依に少しでも楽になって貰いたい」
『…どういう意味ですか?』
「もう充分苦しんできただろう?
なのにこれ以上苦しむなんて…見ていられない」
『私の…何を知っててそう言うんですか…』
「そんなの…見ていればわかるよ」
『……占い師か何かですか?』
「こら。茶化さない」
『………すみません…』
真剣な瞳で見つめられると
答えに詰まってしまう。
もう辛い思いはしたくない。
それは勿論なんだけど…
八年も待ち続けた結果がこれって…。
