
溺れる愛
第25章 引き裂かれる二人
着いた先は、人気の少ない公園の脇。
「ブランコでも乗りながら話そう」
そう言われて、今
私と田所さんは並んでブランコに腰掛けていた。
『ブランコなんて、子供の頃以来です』
「たまにはいいでしょ?童心に帰るみたいな」
『そうですね…楽しいです』
大人二人が、誰もいない夜の公園でブランコを漕ぐ光景は
はたから見たらどう映るんだろう?
でも…風が気持ちいい…。
しばらくぷらぷらと漕いでいると
田所さんが静かに話し出した。
「今日、あの二人…デートだったみたいだよ」
『え……デート…?』
その言葉に、私は漕ぐのを止めて
動揺に揺れる瞳で田所さんを見た。
デートだなんて…一言も聞いてない…。
ううん、それどころか昨日は連絡すらも無かった。
婚約の事だって…。
那津は一体何を考えているの?
やっぱり…私のことはただの遊びだったの…?
