
溺れる愛
第25章 引き裂かれる二人
それから着々と日々は過ぎていき、
那津とあの彼女は相変わらず私に見せつける様に
ベタベタとしていた。
それに加えて、田所さんもまた
二人に見せつけるかの様にわざと
私に必要以上にスキンシップをはかってきていて
そんな私にとって地獄の現場が
那津の婚約発表の前日に無事に完成した。
これでもうあの二人を目の前にすることはない。
だけど、明日になれば二人は…。
心のモヤモヤが更に濃くなっていく。
もう半分、諦めてしまっていた。
どうせ、住む世界が違ったんだ。
そんな風に思ってしまっていた。
悲しい気持ちで現場を後にしようとしたとき
勝ち誇った様な表情の彼女と、どこか苦しそうな表情の那津が現場に現れた。
『…っ』
「……」
お互い何も口にしない。
ううん、出来ない…。
無言で見つめ合って、そこから何かを読みとろうとするけれど
今の私には、那津の考えや気持ちがわからなかった。
すると、その隣に立った彼女が
甲高い声で話し出した。
