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溺れる愛

第26章 選択肢は一つ




「話は簡単よ。

あなた、私の駒にならない?

私の言いつけさえ守れば…そうねぇ。
あの子の愛人くらいには居させてあげるわ。

地位のないあなたとの結婚は無理だけれど。

それに、この先の一生分を
裕福に暮らせる事を約束してあげる。

悪い話じゃないと思うわ」




駒……駒って…。



「いい?

あなたはあの子にとって弱味になる。

もし今、私の誘いを断ってあの子と一緒にいても
またあなたを狙えばいい。

そしたらあの子は私に従わざるを得ない。

よく考えなさいな。

あなた、お荷物なのよ」



そう言われて、初めて気づいた。


最初からそうだった。

那津は、私を守るために自分を犠牲にしてくれた。


これからも、そうなのかもしれない。



私が側にいたら…また私のせいで

那津が傷付く事になる…?



「あなたに選択肢は無いと思うけれど。

まぁ…そうねぇ。

もし断るって言うなら、

こちらも容赦はしないわよ?」




その言葉に

周りに控えている男たちが一歩こちらに近づいてきた。



那津……。



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