
溺れる愛
第26章 選択肢は一つ
那津は、私の家族の崩壊を目論んで
私に近づいた。
だけど、私を愛してくれて
私の家族を守るために自分を犠牲にした。
そしてこの八年間で
やっと本当の自由を手に入れようとしてた。
大切な仲間も出来た。
何より、那津に笑顔が戻った。
それを、また私が……
私のせいで壊してしまう事になるの…?
そんなの、嫌。
絶対にダメ。
私はどうなってもいい。
今度は私が那津を守りたい。
那津の大切なものを
私も一緒に守りたい…!
私は震える手をギュッと握りしめて
私を見下ろす義母を真正面から睨み返した。
『馬鹿にしないで。
そんな誘い、乗るわけないでしょう』
