溺れる愛
第26章 選択肢は一つ
『でも…那津にはもう
何もしないで…くれますか?』
「…それは、僕も善処します。
だけど母の力にはまだ適わない…。」
そこで、さっき義母に言われた事を思い出した。
『…私が…邪魔になる……ですよね?』
すると輝之は、また申し訳なさそうに俯いた。
「僕に…もっと力があれば、
母を納得させられる力があれば…」
ううん…もういいんだ。
私が那津のそばを離れる事で
もう那津は苦しまずに済むんだよね…?
『…輝之さん…。
一つだけ、お願いを訊いてもらっても構いませんか?』
「はい…僕に出来ることは何でもさせて頂きます」
『じゃあ………』
そして私は、
ある事を決心した。
今度こそ本当の自由と幸せを
那津に感じて貰うために。
那津の笑顔を守るために。
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