溺れる愛
第4章 混沌
二つに縛った髪の毛から覗くうなじに、チュゥッと一際強く吸い付かれ、チリッとした甘い痛みが疼く。
『あんっ…ゃだ…』
(どうして…嫌なのに…!力が入らない…)
「芽依、こっち向いて」
『…ん…』
どうしてだか、那津の声は昨日と違って優しい。
だからなのか芽依も素直に従ってしまう。
腰に回されていた手が頬に添えられて
グイッと顔だけを後ろの方へ向けさせられると
そのまま那津の熱い唇が、芽依の唇に押し当てられた。
『んっ…ん……』
(また…キスされた…)
しかし昨日とは明らかに違う。
那津の声も態度も。
そして何より芽依の気持ちが。
あれほど恐怖に感じていた那津からの仕打ちが
今日は少しだけ和らいでいた。
(ちょっとだけ…話をしたから…?
さっき助けてくれたから…?)
「…は……」
『んぅ…ぁ……』
絡まる舌が熱い。
熱に浮かされた様に、芽依の頭の中は真っ白に染められていった。