溺れる愛
第2章 衝突
じりじりと照りつける太陽は
容赦なく建物や人々の身体を焼き付けて
街を行き交う人々の額には、じんわりと汗が滲み
それがキラキラ光っている。
生い茂る緑は、そよ風にサワサワと歌声をあげていて
季節は現在夏真っ盛り。
一学期をもうすぐ終えて、学生の大半が喜ぶ夏休を控えている。
その前には学期末テスト。
これの結果次第で、夏休みが憂鬱になる者も多いのではないか。
それは間違いなく、平凡な毎日。
新井芽依(あらいめい)は、それらを特に意識することもなく、今日も元気に学校へと続く坂を汗を滲ませながら登っていた。
(うーん…今日も暑いなぁ。太陽が眩しい)
「おはよー!芽依!」
『あ、おはよう!桃花ちゃん!』
「早くしないと遅刻だよー」
軽快に自転車のペダルを漕いで、颯爽と去っていったのは芽依の友達で、同じクラスの松原桃花(まつばらももか)。
(いいなぁ、自転車。私も自転車通学にしようかな)
そんな事を考えながら、遠くで聞こえる皆の声に耳を傾けて
さっきよりも少し歩調を速めて坂を登った。