
溺れる愛
第2章 衝突
教室に着く頃には既に汗だくで、
クーラーでよく冷えた教室は少し肌寒く感じた。
先生が来て、ホームルームを終えて
一限が始まって…
やがてチャイムの音が鳴り響いて授業の終わりを告げた。
終わる頃には、既に寒さが勝っており
カーディガンを羽織りながらうとうとと夢見心地で教科書に視線を落としていると
「新井ー。あとで職員室来いよー」
ボーッとしていた芽依の耳に、先生の声が届いて
芽依は一気に意識を現実に引き戻され、思わず目を見開いた。
『え!なんでですか!』
「芽依何かしたのー?」
クラスメイトがニヤニヤしながら芽依に視線を送る中
先生は至って表情を変えずに
「仕事。お前学級委員だろー。あ、あと森山。お前もなー。」
(あ、そっか…。断りきれずに勧められるまま学級委員引き受けちゃったんだっけ…)
森山と呼ばれた生徒に目を向けると
彼は黙って本を読んでいた。
(まだ一度も話したことないんだよね…。声、かけてみよう)
少し気まずいながらも、芽依は森山の席まで行って
ニコニコしながら話しかけた。
