
溺れる愛
第5章 階段
『んーーっ!んぅっ!』
(やだ!辞めて!辞めてよ…!)
ジタバタと脚を動かしながら必死に抵抗するも
那津の舌は芽依の口内を器用に蠢く。
また両手首を掴まれていて、
那津は空いた手で乱雑にリボンをとって、ゆっくりと一つずつシャツのボタンを外していった。
『んー!んんー!』
「…うるせぇな」
身体を捻って精一杯抵抗していると
那津は少し面倒そうに唇を離してから
おもむろにポケットからスマホを取り出して
あの動画を突きつけると、鼻と鼻がくっつきそうな程の距離で
低い声で言い放つ。
「黙って言うこと聞けよ。」
『…ぁ…、…。』
それ以上何も言えなくて。
芽依は思い出したように目に涙を浮かべて暴れていた脚を止めた。
『…最低……嫌い…』
「いいね、それ。その絶望感最高」
それ以上抵抗する力を無くした芽依に
那津は満足した様に器用に片手で乱れるシャツのボタンを全て外して
芽依の肌が開いたシャツの隙間から露出する。
(もう…本当に私このまま…こんな奴に…)
そう思うと、恐怖と絶望で涙が止まらなくなった。
「へぇ…。思ったより胸あるじゃん」
(初めては…好きな人が良かった…)
もう放心状態に近かったかもしれない。
芽依の頭には先輩の笑顔がこびりついていた。
