
溺れる愛
第5章 階段
「やっぱ一本でもまだキツいな」
至近距離に那津の顔があって
その唇から放たれる容赦ない意地悪な囁きさえも
芽依の身体を熱く焦がす様だった。
『やっ、だぁぁっ…!』
(何…やだ…!ぐねぐねして…どうしたらいいの…!?)
「ほら、もうちょい脚開いて力抜けよ」
『む、りよ…あんっ、やだ…!』
自分の中を那津の指がぐねぐねと動き回っていて
何かを掻き出される様なその動きが
芽依の愛液を掬って卑猥な音を立てる。
「ここ、気持ちいい?」
『ひやぁあっ』
グイっと入り口から少しした場所を強く押され
自分でも驚くくらい、まるで電流が走った様に
目を見開いて仰け反って喘いでしまった。
「いいんだ?」
『んあぁっ!な、に?やあぁっ』
至近距離で那津は芽依の瞳を観察するように覗き込んでいる。
「ここ?Gスポット。女が超気持ち良い所」
(そんなの知らないよ!!)
心の声は出せる訳もなく、口からはだらしない喘ぎ声だけが洩れ続け
那津はそれを満足そうに眺めていて。
(もう…やだよ…先輩っ…)
初めての感覚に怖くなって今更先輩を思い浮かべる都合の良い自分が嫌になる。
───いいんだ?───
認めたくなくて。
必死に那津の背中にしがみついて
早くこの感覚から解放されたくて仕方ない。
『はっ、あぁっん…あっ』
ぐちょぐちょとかき回される度に
頭の中で何かが弾けて、何も考えられなくなってきて…
自分の意識を手放すことが芽依は怖かった。
本当に、那津の言うとおりになることが怖かった。
