
溺れる愛
第6章 変化
(せ、先輩…!!今の、絶対見られてたよね…)
思わず頬がかぁっと紅くなるのが自分でも解るくらいに恥ずかしい。
少し茶色のふんわりパーマがかかった髪が風に揺られて
腕を組みながら、口元を押さえて可笑しそうに笑っている俊哉は
三年生というだけあって大人の雰囲気を纏っている。
(…やっぱりかっこいい……)
現金なもので、先程の恥ずかしさなど忘れて
その立ち居振る舞いに見とれていると
俊哉の方から声をかけてきた。
「やっぱり、可愛いよね。芽依ちゃんって」
『かっ!かわ…いく、ないです!!』
(また…!可愛いって…!!)
熱い頬を両手で押さえながら下を向いて否定する芽依に
俊哉は一歩ずつゆっくりと近付いてくる。
そして、芽依のすぐ目の前で立ち止まると
「何か楽しそうだったけど、何があったの?」
(せ、先輩の事妄想してました!!
…なんて言える訳ない!!)
『あ、あの…えっと…』
返事に困って、思わず上目遣いに真っ赤な顔で俊哉を見上げると
俊哉は太陽に照らされてキラキラと輝いた笑顔で
「困った芽依ちゃんも可愛い」
と、芽依にとっては一撃必殺な一言を繰り出した。
今、完全に心を撃ち抜かれた。
ズキューーーンと。
それはもう豪快に。
芽依は俊哉の犯罪的な素敵すぎる笑顔に軽く目眩を覚えた。
(もう死んでもいいかも…)
本気で思ってしまうくらいに。
