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溺れる愛

第6章 変化




─────………



「本当にコンビニのアイスだけで良かったの?」


『はいっ!もう充分過ぎます…っ』



家の前まで俊哉に送ってもらった芽依は
改めてお礼をした。



『あの…、これ、母が焼いたものなんですけど
良かったら…』


おずおずと差し出す綺麗にラッピングされた小袋を
俊哉は嬉しそうに受け取って


「ありがとう。あとで食べるね」


『…はい……』


(あぁ…お母さん、ありがとう…!)


嘘をついて出たことを少し詫びながらも
ポーッとしながら上の空で返事をすると
俊哉が少し照れたように


「あのさ…。芽依って呼び捨てにしてもいい?」


『え……?』


また一気に顔が熱くなる。


『もっ、もちろんですっ!!』


意気込んで返事をする芽依に俊哉は可笑しそうに笑って


「良かった。じゃあ、また学校で」


小さく手を振って踵を返した。


『は、はい!また!』

芽依も急いでそれに返事をすると


「今日はありがとうな。芽依!」


夕陽を背に、俊哉が優しく微笑んで自分の名前を呼ぶ。



(ダメだ…。これは本当にダメなやつ…)



キャーッ!!と心の中でガッツポーズをしながら
浮き足立って玄関の扉を開けた。



その夜、俊哉から

【クッキーすごくおいしかった。
お母さんにも宜しくお礼言っといて。
じゃあおやすみ、芽依】


とメールが来て、なかなか寝付けなかった事は言うまでもない。



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