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溺れる愛

第6章 変化




────……



学校近くの公園のベンチに
コンビニで買ったアイスクリームを食べながら並んで座っている。



(き…緊張しすぎて味がしない…!!)


せっかく買ってもらったアイスクリームを味わう余裕すら無くて
ただ黙々と食べ続けていると
隣から俊哉の優しい声が聞こえてくる。



「今日は本当に来てくれてありがとう。
俺変に張り切ってたし、周りの奴らが冷やかすから…」


照れたように頭をポリポリと掻きながら



「嫌じゃなかった?」



(あぁもう…。その顔は反則です…)



『全然…嫌じゃないです…』



その時、溶けたアイスクリームがポタリと膝の上に落ちて


『ひゃっ…!』


驚いて変な声を上げてしまった事を猛烈に後悔した。


(もう!せっかくなんだかいい雰囲気だったのに!!私のバカ!)


心の中で自分に悪態をつきながら、鞄の中のハンカチをゴソゴソと探していると
ふわりと何かが手に優しく触れた。


「これで拭いて?一応、今日使ってない綺麗なやつだから」


俊哉が優しくフワフワのタオルを手渡してくれて


『す、すみません…っ』


小さく謝って受け取りながら、零れたアイスクリームを拭った。



『あの、ちゃんと洗ってお返しします…っ』


「別にいいよって言いたい所だけど」


俊哉はまた少年っぽく笑う。
今度は意地悪な感じで


「また会う口実になるから、そうしてもらおうかな」


『………はい…』



(もうダメ…。カッコ良すぎて直視出来ない…!しかもその意味深な言葉…!)


何気なしに隣でアイスクリームを食べ続ける俊哉を
チラリと横目で盗み見ながら


(…期待しちゃうよ…先輩……)


声に出せない心の声に切なさを覚えながらも
芽依もアイスクリームをペロリと舐めた。



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