
溺れる愛
第7章 勉強
時刻は既に下校時間の五時半を迎えていて
数学のプリントはというと、まだ終わってはいなかった。
「図書室閉めますねー。皆さん出てくださーい」
先生の声が聞こえてきて
「とりあえずここ出るか。」
那津がゆっくり席を立つと、慌てて芽依も帰り支度をしてその後に続いた。
「お前、テストまであと5日。寝る暇ねぇぞ」
『え…そんなに…?』
「てゆーか出来なさすぎてビビった。もうちょい出来ると思ってた…その身なりだし」
(身なり……?)
那津の言う通り芽依は、今時の若者には珍しい黒髪。
校則では染髪可だったが、あえて芽依はしていなかった。
そんな生徒は少ない上におまけに薄化粧だ。
『髪の毛の事とか?』
「うん。俺チャラチャラした奴嫌いだし」
(そうなんだ…。そう言えばコイツもしっかり制服着てるし髪も染めてない。)
言うだけあるなと納得する。
「とりあえず続きは俺ん家でやるから。出来るまで帰さねーから覚悟しろよ」
『うっ……はい…。』
この先に待ち受けるスパルタ教育に、少しの不安を覚えながらも芽依は那津の後に続いて家を目指した。
