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俺にとって火影は…
口に出したことなど無いが
この世で唯一の家族のようなものだ。

瑠璃、お前は…
火影を想っているのか？

火影、お前は…
瑠璃のせいで、いや、瑠璃のために
何かと戦っているのか？


「…いや…どこにいるのか
俺にもわからない。」


「そっか…」


明らかにがっかりした様子の瑠璃。

少し時間が必要だな。

俺は火影とは違う道を選ぶ。
瑠璃のそばで瑠璃を守ってやる。
そして火影が
自分から戻って来るのを待つ。

瑠璃との間に何かがあったのなら
このまま消えてしまうような
奴じゃない。

荒業をしているあいつのあの目…
あんな目をさせられるのは
目の前にいるこいつだけかも
しれないな。


「もうすぐ夜が明ける。
あいつらは他の人間が引き取りに来る
手はずになっているから、
俺たちは一度城へ帰ろう。
俺が守ってやるから。」


「はいっ」


夜伽を続ける瑠璃の近くにいる
という選択が、
どれほど辛いものになるのか…
この時の麻兎には想像できなかった。