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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第3章 初夜。

 美奈恵は小さな溜息をついた。
「建礼門院は我が子の安徳天皇を失った後、ここ大原野に来て寂光院の側に小さな庵を結んだ。それからはずっと我が子や亡くなった平氏一族の菩提を弔いながら余生を生きたっていうわ。そんなにも長い間、彼女は何を考え思いながら生きていったのかしら」
 美奈恵はフッと笑った。
「女って哀しい生きものだなって思ってたら、あの場を離れがたくなってしまって」

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