テキストサイズ

レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第3章 初夜。

「棄てたんじゃない。まだ、たった五つのお前を道連れにするのは忍びなかった、だから、親父さんもお袋さんもお前を連れていかなかったんだ」
 剛史の真摯なまなざしに、美奈恵は自分の中でこれまで気丈に保たれていた何かがプツリと音を立てて切れたのを感じた。
「でも、私はずっと棄てられたと思ってたのよ。五歳のときから、私は実の親に見捨てられた哀れなみなしごだと思って生きてきたの。剛史には判らないよ。だって、剛史の家はご両親だってちゃんと揃って元気だし、何の問題もないじゃない」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ